(このテーマについての、別テーブルでの対話の記録はこちら)
皆さんは、パートナーを選ぶとき、何を一番大切にしていますか?
「ビビッとくる直感」でしょうか、それとも「年収や職業などの条件」でしょうか。
今回の哲学カフェでは、永遠のテーマとも言える「結婚における幸福:愛(ドラマティック)か、経済力(エコノミック)か」について、熱い対話が繰り広げられました。
参加者の皆さんのリアルな実体験、そして飛び出した「進化心理学」や「マンモスの肉」というパワーワード。対話を通じて見えてきた、現代を生きる私たちが本当に大切にすべき「幸せの基準」について、開催レポートをお届けします。
1. テーマ提起:エコノミックラブ vs ドラマティックラブ
今回の対話のきっかけは、ある参加者(Sさん)の問いかけから始まりました。
「統計データでは、相手の経済状況やステータスで決める『エコノミックラブ』の方が幸せになれるという結果があるらしい。でも、直感や“好き”から入る『ドラマティックラブ』の方が、やっぱり楽しいんじゃないか?」
この問いに対し、参加者それぞれの「中学生時代の恋」や「友人の結婚・離婚エピソード」が次々と飛び出しました。
- エコノミックラブ:年収、学歴、職業など「条件」から入る関係。安定や生存戦略としての側面が強い。
- ドラマティックラブ:「かっこいい」「可愛い」「話が合う」など「感情・直感」から入る関係。燃え上がるが、冷めるリスクも?
「条件で選ぶなんて冷たい」と思われがちなエコノミックラブですが、議論が進むにつれ、意外な真実が見えてきました。
2. 現代の「お金」は、太古の「マンモス」である
進化心理学で読み解く「モテ」の正体
対話の中で特に盛り上がったのが、「なぜ小学生の時は足が速い子がモテて、大人になると年収が高い人がモテるのか?」という疑問です。
ここである参加者から、非常に興味深い進化心理学的な視点が提供されました。
「それ、結局どっちも本能的には『エコノミックラブ』なんじゃないですか?」
| 太古の時代 | 足が速い・強い = 獲物(マンモス)を獲れる = 生存能力が高い |
| 現代社会 | 仕事ができる・稼げる = お金を得られる = 生存能力が高い |
つまり、私たちが「お金持ちがいい」「安定した職がいい」と条件を気にするのは、強欲だからではなく、DNAに刻まれた「生き残るための本能」なのかもしれない、という仮説です。
かつてのマンモスの肉が、現代では「貨幣」に変わっただけ。そう考えると、条件を見ることは決して悪いことではなく、生命として自然なことのように思えてきます。
3. 男女の視点と「条件」の落とし穴
女性のリアリズムと男性のロマンチズム
議論では、男女間の感覚の違いについても触れられました。
「ママ友コミュニティの情報共有の速さは、生存戦略としてすごい」という話や、「男性の方が意外と夢見がちでドラマティックラブを求め、女性の方がシビアにエコノミック(現実)を見ているのでは?」という意見も。
特に興味深かったのは、「高学歴・高収入限定のマッチングアプリ」や、結婚のためにあえてフリーランスから会社員に戻った友人の話です。「信用」や「肩書き」というラベルが、現代社会における「強さの証明」になっている現状が浮き彫りになりました。
「条件」を満たせば幸せになれるのか?
しかし、ここで重要な問いが投げかけられます。
「スペックの高い相手(白馬の王子様)を捕まえたとして、それは『自分の幸せ』なのか? それとも『他人から羨ましがられる幸せ』なのか?」
- 彼氏のステータスを自分のステータスのように感じてしまう(他者軸)。
- 条件は良くないけれど、一緒にいて心から満たされる(自分軸)。
ある参加者が言った「結局、どちらを選んでも自己満足。自分が何で満たされるかを知っているかどうかが重要」という言葉に、多くの参加者が頷いていました。
4. 結論:条件もまた、一つの「愛の入り口」である
約1時間の対話を経て、参加者たちの考えにも変化が生まれました。
最初は「条件で選ぶなんて…」と否定的だったドラマティック派の方も、「条件(エコノミック)を入り口にして、そこから愛(ドラマティック)を育んでいくのも一つの形」だと気づきました。
また、バリバリ働く女性参加者からは、「自分が稼げば相手に経済力を求めなくて済む。そうすれば純粋なドラマティックラブを選べる」という力強い意見も。
今回の哲学カフェでの「気づき」まとめ
- 「お金」は現代の生存本能:条件を見ることを自分自身で責める必要はない。
- 入り口はどちらでもいい:「条件」から入って愛を育むか、「直感」から入って生活を整えるか。順序の違いでしかない。
- 「他者評価」と「自己幸福」を分ける:「すごいと言われる結婚」と「自分が心地よい結婚」は違う。
- 自分を最適化する:相手に求めるだけでなく、自分がどうありたいか(自分が稼ぐのか、支えるのが好きか)を知ることが先決。
5. 主催者より:次回の展望
「エコノミック vs ドラマティック」という対立構造から始まった今回の議論でしたが、最終的には「どちらも人間の本質であり、バランスの問題」という着地点に辿り着きました。
参加者の一人が最後に言った、
「今まで理解できなかった『条件重視の人たち』の気持ちが、生存本能だと聞いて少し理解できた」
という言葉が印象的でした。
自分とは違う価値観を持つ人の意見を聞き、「なぜそう思うのか?」を掘り下げることで、自分の世界が少し広がる。これこそが哲学カフェの醍醐味です。
次回は、今回少し話題に出た「自立と依存」「仕事とパートナーシップ」あたりを深掘りしても面白いかもしれません。
正解のない問いを、コーヒー片手に一緒に考えてみませんか?
次回の開催もお楽しみに!
(このテーマについての、別テーブルでの対話の記録はこちら)


